小学生の頃、祖母ととうもろこしを食べていたときのことです。「たまみの歯は、黄色くて小さくて、とうもろこしみたいだね。」その当時は、じゃりんこチエのようなビジュアルで、自ら変顔をして受ければウレシイぜ!くらいのジャリだったもので、「へーそう。」程度のリアクションしかしませんでした。
しかし、乙女の心は繊細です。5年もかかり、記憶は掘り起こされてお年頃のわたくしは、とうもろこしを隠すようになりました。笑うとき、どうしても口に手を当ててしまうのです。その癖はかれこれ5年も続き、思春期のクラーイコンプレックスとなりました。今はというと、歯科医師になったため、矯正し、ラミネートベニアで形も変えてホワイトニングで、色も変えて、とフルコースで大変身!お下劣なほど大口あけて、笑えるようになったわけです。あれほど、気にしていたのに、カメラを向けられると、萎縮して口を閉じて無表情だったのに。いっぱい、いっぱい損していた気がします。温かい気持ちでいても、冷たいと思われ、自信がないのに、ふてぶてしいと思われ、かわいがろうとした子供に泣かれ、人間がビジュアルで評価されるだけでなく、自分自身の心も変わるのです。コンプレックスをもっていたときに身についた、アンニュイな自分や人の痛みがわかる心も大切にしたいですけど、今現在、コンプレックスから開放されたからそう言えるのかもしれませんね。ちなみに、とうもろこしを食べるとき、わたしは、ランダムに、ぐちゃぐちゃと食べると気持ちいいです。一列ずつ、下あごをかかかっつとしながら食べる夫とはいつも、お互いの食べ方にケチをつけながら、にぎやかです。